地区 |
東京 |
研究会名 |
金融犯罪対策(AFC)監査の先進的・実践的な監査技法の研究会 |
座長 |
澤田 謙一 氏(株式会社りそなホールディングス) |
テーマ |
<設立した経緯>
近年、金融犯罪対策(AFC※)における脅威は多様化・高度化し、予測が困難な状況となっている。金融犯罪を取り巻く環境の急速な変化により、従来のガバナンス、リスクマネジメント、コントロールに基づく監査技術・手法では対応が困難なケースが増加している。
例えば、日本における詐欺犯罪は過去最高水準に達しており、犯罪者や反社会的勢力の手口は日々巧妙化している。その結果、企業のリスクマネジメント(第1線・第2線)および内部監査(第3線)による対応が追いついておらず、犯罪の発生件数や被害額の減少が見られない。特に以下のような領域では、変化に即応できる高度な監査技術・手法が求められている。
- 暗号資産の不正利用(不正送金の隠蔽、ダークウェブでの取引など)
- 生成AIを悪用した詐欺(フィッシング詐欺、偽のキャンペーンなど)
- 国際規制の変化による新たな金融犯罪(地政学リスク、制裁回避など)
金融犯罪対策を推進する企業では、1線(業務執行部門)・2線(リスク管理・コンプライアンス部門)・3線(内部監査部門)の各領域において、高度なスキル、革新的な人材、先進技術の活用が求められており、各企業では国際基準や法規制を遵守しつつ、迅速かつ適切な対応を講じる必要がある。その中で、内部監査部門においても「先進的かつ実践的な監査技術・手法の開発」が強く求められている。
以上を踏まえ、本研究会は、金融犯罪対策に関する最新の監査技術・手法の研究・研鑽を行い、業界を超えた相互交流の場としての役割を果たすことを目指す。
※ 金融犯罪対策(AFC)の対象領域は広範であり、以下の①〜⑩が含まれる:
- ① マネーロンダリング防止(AML)
- ② テロ資金供与防止(CFT)
- ③ 大量破壊兵器拡散金融対策(CPF)
- ④ 反社会的勢力の排除
- ⑤ 経済制裁対象者の資産凍結
- ⑥ 贈収賄・汚職の防止(ABC)
- ⑦ 脱税・違法な租税回避(米国FATCA、日本の実特法)
- ⑧ 特殊詐欺・サイバー犯罪(フィッシング、口座譲渡)の防止
- ⑨ 暗号資産関連犯罪の防止
- ⑩ 環境・人身売買関連犯罪の防止
<趣旨>
本研究会は、金融犯罪対策に関する先進的で実践的な監査技術・手法の共有と発展を促進し、企業が環境変化に即応できる能力の向上を図るものである。
具体的な活動方針:
- ⑴ 高度で専門的・先端的な知識の習得
- ⑵ 中長期的なスキル開発および業界横断的な交流の場の構築
- ⑶ 金融犯罪対策に特化した実践的な監査技術・手法の高度化
これらを通じて、従来の監査技術・手法では対応困難な課題に取り組み、「先進的かつ実践的な監査技術・手法の革新」を業界横断的に推進する。
<目的>
本研究会の目的は、以下の3点を柱とする:
- ⑴ 融犯罪対策における最新の知識・技術・スキル・ノウハウの習得および監査技術・手法の課題解決に向けた研究・研鑽の場を提供する
- ⑵ メンバー間の相互交流と業界横断的な取り組みを通じて、各企業のガバナンス、リスクマネジメント、コントロールの有効性と効率性を向上させる
- ⑶ 金融犯罪対策における「理論と実践」の融合を図り、各企業の「3線管理によるPDCA(※)管理態勢の構築・機能化」の助言を提供する
※ P D C Aの具体例:
- Plan(計画):方針・規程・手続・要領等の整備
- Do(実践):実務(プラクティス)の導入・稼働
- Check(検証):管理態勢の有効性検証、評価・分析(問題点・課題の抽出)
- Action(改善):改善措置・リスク低減措置の反映
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目標成果 |
- ⑴ 各企業の金融犯罪対策における監査技術・手法等の革新とその定着
- ⑵ 国内外の環境変化に対する専門的な知識・技術・ノウハウ・経験等の収集・把握・共有
- ⑶ 新たなリスクに対するガバナンス、リスクマネジメント、コントロールの課題解決の最適化
- ⑷ IT・生成AI・RPA等の先進技術の監査への応用
- ⑸ 国内外の法規制・ガイドライン・国際標準等への対応力の向上
- ⑹ 業界横断的なネットワーキングの強化
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活動方法 |
⑴ 定例会の開催
- 毎月1回のミーティングの開催(原則)
- 業務時間外の開催(平日18:30〜20:10など)
- オンラインと対面のハイブリッド形式の開催
- 年に1回程度の合宿・特別イベントの形態での開催検討
⑵ 定例会での主な活動内容
- 各企業の実務(プラクティス)に関する発表・議論(監査技術・手法の課題・成功事例等)
- 国内外の環境変化(法規制、国際標準等)に関する最新情報の収集・共有
- データ分析、生成AI、RPA等による監査効率化と検証精度向上の活用事例研究
- 国内外の法規制(必須水準)と国際標準(期待水準)に基づいた適合性の事例研究
- 業界横断的な課題に対する外部ネットワーキングを活用した共同研究と事例研究
⑶ 研究成果(発表や討議の内容等)の活用
- 発表資料の作成・共有等を通じたプレゼン能力の向上
- 年に1回程度の報告書の作成
- 研修会、カンファレンス、セミナー等での成果発表
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備考 |
参加要件
本研究会は、金融犯罪対策の監査に従事するCIA資格保有者を主な参加対象とする。特に、犯罪収益移転防止法における「特定事業者」に該当する業種の監査担当者を想定している。
<主な「特定事業者」に該当する業種>
- 金融機関等(銀行、信用金庫、保険会社、証券会社など)
- ファイナンスリース事業者
- クレジットカード事業者
- 宅地建物取引業者(不動産関連)
自由意見欄
金融犯罪対策における最新の動向や革新的な監査技術の共有を期待する。また、データ分析、生成AI、RPA等を活用した監査手法や暗号資産犯罪への迅速な対応策に関する実務事例をテーマにした議論の場は非常に有意義だと考える。さらに、メンバー間のネットワーキング機会を強化することで、異業種間の知見交換が活性化することを期待する。
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